管理栄養士ミニコラム③ 糖質制限ダイエットっていいの?
2021年7月12日
一時ブームになってから今現在も耳にする「糖質制限ダイエット」。
「確かに痩せた」「痩せなかった」「痩せたけどリバウンドした」様々なお声があります。
当院では減量について患者様にお話する機会も多くございます。減量方法は合う合わないありますし考え方も様々ございますが、
今回は栄養学の観点から患者様によくお伝えする「糖質制限ダイエット」について、取りあげてみたいと思います。
① 糖質制限ダイエットとは
三大栄養素をご存知でしょうか。
食事のカロリーは「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」、この3つから成り立っています。
「糖質」とは、この三大栄養素の1つである「炭水化物」から「食物繊維(ほぼゼロカロリー)」を除いたものの総称にあたります。
つまり糖質を削れば、摂取カロリーが
「糖質」+「たんぱく質」+「脂質」
↓
「たんぱく質」+「脂質」
になりますので、摂取カロリーが減り、体重も落ちる。このからくりを使ったのが「糖質制限ダイエット」です。
となるとお気づきかと思いますが、「たんぱく質」or「脂質」を削ってもカロリーは減ります。
しかし「たんぱく質」と「脂質」はおかず部分にセットでくっついてくることが多く、それぞれ単体だけを抜くのは現実的に難しいです。
一方「糖質」は、いわゆる主食部分を抜く、という単純で分かりやすく実行しやすいです。
また、減量後のリバウンド原因の1つである筋肉量減少による代謝の低下ですが、糖質制限ダイエットはたんぱく質をしっかりとっていますので、それを防げる可能性があるというのもメリットの1つなのかもしれません。
② 糖質制限ダイエットの問題点
ここまで読むと「何だか良さそう!」と思うのですが、いくつか問題点がございます。
まず、「三大栄養素」という言葉があるくらいなので、三大栄養素のバランスはとても大事です。
糖質制限をするとそのバランスが著しく崩れるということです。
具体的にどんな影響があるかというと…
1)糖質を減らすことにより相対的にたんぱく質や脂質の割合が増える
①でも触れたのですが、たんぱく質と脂質はセットになっていることが多いので、糖質を減らすとたんぱく質と脂質の割合は共に増えていることが大半です。
脂質はカロリーが高いため、糖質カットしていたら結局脂質が増えいつの間にかカロリーが増えていた
なんてことも結構あります…これでは本末転倒ですね…
また、これが長期に及ぶと血液検査などに異常が出てきます。
↓
・脂質増加により血中コレステロール値の上昇
・たんぱく質摂取増加による腎臓への負担増加
(たんぱく質は最終的に腎臓で処理されるため、過剰摂取は腎臓に負担がかかります)
つまり、長期的に行うと何らかの健康被害が出てきてしまう可能性があるということです。
2)炭水化物の割合が下がることで死亡リスクが上がる
1)に付随する結果ですが、総エネルギーに対する炭水化物の摂取割合別に死亡リスクを比較した研究データがございます。
(縦軸が死亡リスク、横軸が総摂取エネルギーに対する炭水化物の割合です)
炭水化物はもちろん多くても良くないのですが、なんと少なくても死亡リスクが上がるのです。
ということは…やはり結局、バランスが大事ということです。
短期的に行うのはいいかもしれませんが、減量はゆっくりでも良いので食習慣自体を変えていくことが成功の近道と感じます。
でもそれが1番難しいのですよね。一人ではなかなか継続しづらいものです。
そのためにも是非一度、お話にいらしていただければ嬉しいです。
当院 管理栄養士より